私にとって雨のにおい、とは、雨が太陽で熱されたアスファルトに当たり、蒸発したときのにおいである。
小学校に行こうと家を出たとき、今日は何をして遊ぼう、あの子とは何回話せるだろうか、なんて思いながら鼻にする、あの初夏のにおい。
実際はあめのにおいでも何でもない、ましてや雨上がりのにおいである。
でも、それは私にとっての雨のにおいでしかないのだ。
同じように、夏のにおい、というものは存在しないだろう。
これに関しては、何のにおいが夏のにおいを構成しているのか分からない。
しかし、感じる。朝家を出た時に、夏がやって来た、と。
台風が過ぎ去り、雨が止み、私は私にとっての、夏のにおいを感じる。